祇園 味舌 過去ログ{祇園 の懐石料理 味舌さんの食事記録です}−レストラン案内 京都−



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2010 節分後、雪降る日に
2010 節分後、雪降る日に

  節分を少し過ぎた雪の降る日に、味舌さんへ伺いました。
  ミシュラン京都、大阪版で1ツ星を取ったことへのお祝いもかねて、 また、今年は家族での正月をしなかったので正月をかねて。

あられ湯

  味舌さんの最初は、あられ湯とでも言うべきもの。
  寒い外を歩いてきたので、温まります。

先付け

  半生のクチコ。クチコの生干しというものです。
  最初ビールで始めるのですが、これが出るとすぐに日本酒をオーダー。
  この時期なら浦霞の生酒があり、普通の浦霞はどちらかと言うとライトなのですが、この生酒はアルコールも高くパワフルで、クチコとよくあいます。
  この半生のクチコは味舌さんだけでしか出会ったことがなく、これも伺う大きな楽しみです。

  椀は蟹しんじょうに蕪のみぞれ餡かけ。
  蟹の甘みと蕪の口当たりをしっかりとそれでいて上品な出しが支えています。

造り

  造りはテッサ。軽くあぶったフグを刺身にしたもので、あぶったことで香ばしく、また、僅かに加熱されたことでタンパク質がアミノ酸に変化したのか、旨味も増しています。
  あまりテッサは好みではないのですが、美味しくいただけました。
  もう一方はマグロ。中トロの部分でしょう。これも上品なマグロの脂を楽しめました

飯蒸し

  飯蒸しは、いつもは穴子鮨ですが、節分と言う事で稲荷を。
  暖かい稲荷は、これまた美味しく、穴子鮨とは違った楽しみ。

八寸 〜その1〜

  今回はエディーさんのご希望で、八寸を二回出してもらうことに。
  まず本来出てくる順番の一回目の八寸は、節分らしく鰯に、白魚、つくし、ゆべし、イベリコ豚の生ベーコン、イカと筍の木の芽和えです。
  後から控えているので、少し抑え目に味わいがライトなものが多いですが、イカと筍の木の芽和えが絶品。イベリコ豚はワインが欲しくなりました。

フグの白子焼き

  焼き物は、これも予約のときにお願いしておいたフグの白子焼き。
  昨年の白子より大ぶりで、その分、味が濃厚で美味しかったです。
  これもこの時期の味舌さんに来る大きな楽しみの一つ。

酢の物

  酢の物は牡蠣の南蛮漬け。牡蠣の風味がしっかり出ていて、酸味が軽快さを与え、重くなっていません。菜の花の苦味がアクセント。
  牡蠣は揚げた事で旨味が増しています。単なる酢牡蠣では、この深みは出ないでしょう。

炊き合わせ

  炊き合わせは海老芋と車海老。
  野菜の海老と海産物の海老のコラボレーションは、単に名前のコラボだけではなく、味わいの点からも海老の甘みと風味を芋が受け止めており見事なマリアージュ。
  いつもは、この炊き合わせを食べ終えると、華やかな楽しいひと時も終焉を向かえるのかと、寂しい思いをするのですが、今回はこの後に、メイン?の二回目の八寸が待っているので、寂しい思いがありません。

八寸 〜その2〜

  二回目の八寸は珍味ぞろい。
  タラの白子を炙ったもの、ヒラマサのカラスミ巻き、昼過ぎから漬けたといわれるコノワタの粕漬け、軽く火を通しただけのハマグリと、どれも酒のアテに最高。とくにコノワタは絶妙の漬かり具合。
  また、ハマグリは酒蒸しにして、開いた瞬間に取り出したものとかで、普通の酒蒸しと違い、生の感覚に近く、風味が非常に豊か。
  フランスでは生のアサリなどを、プラ・ド・フリュイ・ドメール(海の幸の盛り合わせ)などで出しますが、貝毒があるので、このような手法を取られた様で、この技法は参考になりました。
  八寸ダブルは満足感が高く、これからの定番になりそうです。

ご飯

  ご飯は定番の穴子鮨。もう、これは絶対に外せません。今回は4貫。もう言うまでもない美味しさ。

フルーツとデザート

  フルーツと、お菓子です。
  お菓子の撮影を忘れてしまいましたが、このお菓子も変わっていて、白いんげんをホウレン草で色付けして小豆を添えたものでした。

  今回も大満足。やはり京都に来れば、何をおいても味舌さんに行きたくなります。
  また、時間的、金銭的余裕があれば、わざわざ味舌さんに食べに行くために、京都を訪れたくなります。そう言う意味で私的には、わざわざ、その店に食べに行くために足を運ぶべき所ということで、味舌さんは三ツ星です。

09 3 8 桃の節句の少し後に
桃の節句の少し後に

  2008年のゴールデンウィーク依頼、ほぼ一年ぶりの味舌さんに。
  急遽、京都に行く用事が出来たので、夕食も京都でと言う事になりました。京都で夕食となると、まず、ここが候補に挙がる味舌さんです。当日の予約ながら取れました。
  最初は桜湯。塩漬けの桜の花びらは、少し早い、お花見気分にさせてくれます。

先付け

  先付けは半生のクチコと山葵の葉。
  旨味が凝縮された半生のクチコは、味舌さんでしか食べられないのでうれしい限りです。

  椀はエビしんじょう。この季節、ひな祭りの後だったのでハマグリのしんじょうが出てくるかと思っていましたが、当日の予約だったせいかエビでした。まわりにはここも桜の花が。
  しんじょうはエビの甘みが出ていて、固さもちょうど良く、ハラリと崩れる。出しは上品。

造り

  造りはヒラメ、サヨリ、車海老。
  車海老は軽く湯通ししてあるので、甘みが際立ちます。サヨリは繊細な味わい。鮨ネタとは少しイメージが違いました。
  この日は、裏霞の生絞りがあったので、酒はこれに。この季節しかないのが残念なくらい、美味しい酒です。

飯蒸し

  飯蒸しはアナゴ鮨。当日予約だったので、表面を焼いてから蒸したアナゴです。
  これもこれで、香ばしさもあり美味しい。

八寸

  八寸。味舌さんに来て一番の楽しみがこれ。
  焼いた帆立、あぶったカラスミ、スモークサーモンの黄身鮨。ナマコのコノワタ和えとヌタ、ノレソレです。
  黄身鮨はいつもながら、卵の旨味とサーモンの脂とスモークされた香りのマッチングは美味しい。
  カラスミは酒のあてに最高。そして何よりナマコのコノワタ和え。
  コノワタ、クチコなどの珍味系は、本当に味舌さんの真骨頂かも。

フグの白子焼き

  今年も出ました。フグの白子焼き。
  前回も驚愕しましたが、今回も。柴漬けをあわせる発想がすごい。
  前回は 2月上旬でしたが、今回は 3月上旬。その差か、フグの白子は少し小ぶりでした。
その分、前回の方がさらに美味しかったですが、充分満足。

マナガツオの味噌焼き

  焼き物はマナガツオの味噌焼き。味噌焼きと言っても、味噌は風味と旨味の上乗せがされているだけで、強く感じず、上品な仕上がりで、さすが京料理。
  もう 2切れくらい追加したくなります。

アワビと筍の酢の物

  アワビと筍の酢の物。柔らかく炊いてあるアワビの食感と筍のそれとの対比が面白い。

炊き合わせ

  筍炊き合わせ。フキが上品で香り高く、筍も走りですが、香りがしっかりしていました。

ご飯

  ご飯は飯蒸しと同じアナゴ寿司。今回は 5貫。
  いつも同じ事を書きますが、これだけ昼食に食べたくなります。

フルーツとデザート

  フルーツ。
  お菓子はまだ桜餅じゃなかったです。これも甘みが抑えられていて上品。
  基本的に和菓子がダメな私も、味舌さんのお菓子は大好きです。

  当日の予約でも充分満足。やっぱり京都に来たら、まず、ここに行きたくなります。

08 5 4 ゴールデンウィークに
ゴールデンウィークに

  昨年のお盆以来、ほぼ 9ヵ月ぶりの味舌さんです。あかあかや先生が海外に行ってしまい、行く機会がなく、今回は家族で伺いました。先生と来るときは”おまかせ”コースですが、今回はその一つ下の”花”のコース¥20,700(税、サービス料込み)です。

  食前酒に端午の節句が明日と言う事で、菖蒲酒を。独特の風味があります。

先付け

  先付けはミル貝と蕗と思える野菜。ミル貝は磯の香りは大分抑えられています。磯の強い香りが好きな人には物足りないかもしれませんが、食事のスターターとしては、抑えられている方が好ましいでしょう。

  鱧と卵豆腐の椀です。卵豆腐には葛でつながれているとかで、非常に滑らかな舌触りが楽しめます。タラの芽は天麩羅でしか食べたことが無いのですが、煮たものも香りが楽しめ、新しい発見でした。鱧は言うまでもなく美味しい。椀の出汁も決して濃くないもののしっかりとした風味があり、平坦な味わいではありません。

造り

  今回は桜鯛とヨコワ、そして霜降りにした車海老です。鯛は山葵醤油だけでなく、おろしポンズでも楽しめます。ヨコワはトロの部分で、マグロほどのしっかりとした脂ではありませんが、穏やかでそれでいて風味はしっかりしたもの。
  そして車海老はオーダーが入る前まではピンピンしていたものを、軽く湯に落とし、霜降りにしてあります。生で食べるより甘味が出ていて、こういうところは日本料理の技術が生かされていると感じました。

飯蒸し

  飯蒸し代わりは今回もアナゴ寿司。もう夏バージョンでしたので、タレの甘さより酢飯の酸が効いています。

八寸

  八寸は私の大好物、生のコノコがありました。これはもう珍味中の珍味です。何とも言えない磯の香りが口の中いっぱいに広がり、そして独特の旨味が楽しめます。
  鯛の子の塩辛もお手製です。上品な塩辛はコノコと対照的です。
  粽(ちまき)の中は目板カレイの黄身鮨です。板前さんが何本も巻いています。京都では 5月だけでなく、夏にも巻かないといけないとか。巻いている姿を見ると、解くのが悪い気がするほどです。あっさりとした目板に黄身の裏ごしの旨味があわさり絶妙です。
  変わってサーモンの黄身鮨は、サーモンのしっかりとした味わいと黄身の旨味が対比されるような感じで楽しめます。
  赤貝のヌタも酢味噌のうまさと貝の磯の風味の取り合わせが楽しめます。

桜鱒 味噌幽庵焼き

  桜鱒は味噌幽庵焼きです。以前にも頂いたことがあります。味噌の風味と鱒の香りのマッチングは快適です。

アサリとうるいの酢の物

  アサリの酒蒸しとうるいの酢の物です。アサリのコハク酸の旨味とうるいのさわやかな風味が加わり、酢がしめています。

炊き合わせ

  炊き合わせは若竹煮です。季節物ですね。筍の香りと歯ごたえが楽しめました。そう言えば今年は木の芽味噌の田楽が出てこなかったです。少し季節が遅かったのかもしれません。

ご飯

  ご飯物はもう定番のアナゴ寿司。今回は最初から五貫頼みました。これだけを食べに来たい名品です。

フルーツとデザート

  フルーツはマンゴー、グレープフルーツ、アメリカンチェリーなど。
  デザートはこれも季節物の柏餅。桜餅で言えば道明寺と同じスタイル。抑えられた甘さがいつもながら心地よいです。
  今回はいつものおまかせコースではなく、一つ下のコースでしたが、充分楽しめました。でも、あかあかや先生と来るときは、やはり、おまかせコースでより堪能したいと思います。もちろん、予算が許せばですけれど。
  さて、約 9ヵ月ぶりでしたが、あかあかや先生がいつ戻ってこれるかわからないので、次回もいつ来れるかわかりません。夏の鱧、秋の松茸、には伺いたいのですが、難しいかもしれません。

07 8 10 お盆に
お盆に

  お花見に来て以来、4ヵ月半ぶりの味舌さんです。予想通り、夏まで来れませんでした。夏の京都と言えば、鱧。今回も鱧づくしでした。

  食前酒は梅酒。暑い時期には酸味が爽快です。

先付け

  先付けに良く出されるに鮑ですが、今回は桃のスライスと一緒に頂きます。フレンチでは鴨と合わせられる桃ですが、そちらでは火を通していますがこれは生。
  鮑の柔らかさと磯の香りに桃の甘さは変わった取り合わせ。なかなか面白いですが、さすがに肝の部分には厳しいのです。もっとも、写真で見るとおり肝は端によけてあるので一緒に食べないことは理解出来ます。

  予想通り鱧の椀です。まだ松茸が出ていないので、じゅん菜とあわせられています。葛をうたれた鱧の旨味、じゅん菜のツルンとした触感。それを支える出汁。何時食べても美味しいです。

造り

  これも夏の定番、鱧の刺身。落としを梅肉でというのが多いのですが、味舌さんは骨切りし皮を引いた刺身を出してくださいます。普通の白身より粘りがあり、味もしっかりしています。
  目板カレイは変わってすっきりした味わい。
  見た目が鱧の落としに見えるよう細工されているのはタコの湯引きです。
  鱧の浮き袋と肝。浮き袋は食感だけの食べ物。コリコリしていて楽しめます。肝は肝らしい味。でも苦味はなく、かと言ってカワハギの肝ほどの濃厚さはありませんが、酒の肴にはなります。

飯蒸し

  飯蒸し代わりに今回もアナゴ寿司。夏バージョンなのでタレの甘さより酢飯の酸が効いています。いや、夏バージョンも冬バージョンもやっぱり美味しい。

鮎塩焼き

  もう一つの夏の主役の鮎です。まだ小ぶりで、肝の苦味もまだまだかわいらしいですが、骨抜きして頭と骨を別に全部食べ、身は身だけで頂きました。今年は鮎茶屋つた屋さんには行けそうにないので、おいしい鮎はこの一匹のみでしょうか。

八寸

  八寸も鱧づくし。
  鱧の白子と真子です。真子はそれほど驚く味ではなく、食感を楽しむ感じ。白子も意外とあっさりしていていますが、旨味はしっかりしていて、鱈の白子を上品にした感じです。
  前回頂いた、焼きフにカマンベールを挟み焼いたものが今回も出ていました。
  サバの味噌漬け?とレンコンを挟んだものも面白く、鴨ロースなどは安定した味わい。

鱧の源平

  もう一品焼き物が。鱧の源平です。鱧の白焼きとタレ焼き。鰻みたいですね。
  どっちが源氏でどっちが平氏かと聞いたところ、白焼き(白)が源氏、タレ焼き(赤)が平氏だそうです。味わいから言うと、上品でスッキリしているのが貴族文化的な香りのする平氏で、タレ焼きの田舎くさいしっかりした味わいが、武士らしい源氏のように思えるのですが、これは個人的な源平に対する主観の問題でしょうか。
  鰻とは違い、くどくないので、どちらも美味しいですが、より白焼きの方に軍配を上げました。

イチジクの白ワイン蒸し ゴマソース和え

  はい。今回一番驚いたのがこれ。甘いイチジクの白ワイン蒸しだけでもびっくりなのに、かかっているのがゴマ風味の味噌ソース。これがあうんですよ。ゴマの風味にイチジクの抑えられた甘さ。生ハムとイチジクも美味しいけど、これも負けない美味しさ。

炊き合わせ

  炊き合わせは冬瓜とエビ。

ご飯

  ご飯物はもう定番のアナゴ寿司。今回は最初から四貫頼みました。

フルーツとデザート

  フルーツはパパイヤ、ルビーグレープフルーツなど。南国の果物が必ず入るところが特徴です。
  デザートは百合根の菓子。すっきりと、抑えられた甘さが心地よいです。
  今回はいつものおまかせコースよりお値段が大分安かったです。鱧は高くないのでしょうか。さて、四ヵ月半ぶりでしたが、去年の夏以来、同行してくださった、あかあかや先生の海外勤務が決まったので、次回の訪問はいつになるかわかりません。出来れば、秋の松茸、冬のフグやカニには伺いたいのですが・・・。

07 3 25 少し早いお花見
春のお彼岸に

  前回予告したとおり、春、桜の時期に味舌さんにやってきました。まだ桜は殆ど咲いておらず、少し早いお花見ですが、やはり花より団子。何はともあれ、期待に胸を膨らませ、いざ出陣。

  食前酒は桜酒。これはこの時期の定番です。

先付け

  まず最初はアワビを軽く出汁を効かせた先付け。食欲が俄然湧いてきます。

  出ました!! 生クチコ。椀の出しはしっかりした鰹の風味。桜の花びらが軽い塩味と風情を醸し出し、そして一口、生クチコを含むと、鮮烈な磯の風味、そして独特の旨味が広がり、恍惚とします。いつもは八寸で頂くものを、今回は椀で。暖かさが加わったためか、また一味違った楽しみ方でした。

造り

  北寄貝の軽い湯引きとアイナメの皮面を焼いた刺身(松皮造り風)。
  北寄貝は名まで食べるより、軽く火を通してあるからか香りも高く、味わいが深く貝好きの あかあかや先生は、さぞご満悦。
  アイナメは皮面には火が通り、皮のゼラチン質と旨味を楽しめつつ、白身はあっさり。

田楽

  この時期の味舌さんの名物? 木の芽味噌田楽です。田楽に使う木の芽味噌は大きいすり鉢で熱が入らないようにあわせるそうです。たっぷり木の芽が使われており、香り高く、濃密な味わい。豆腐はこの木の芽味噌を食べるための土台で、この木の芽味噌だけいくらでも食べていたい。
  木の芽味噌の料理としては、美山荘の筍の木の芽合えの方が上だけど、これは土台の違いが大きいのかも。しかし、十分楽しめる秀逸な料理です。

八寸

  今回も変わった、趣向を凝らしたものを。
  まず焼きフにカマンベールを挟み焼いたもの。フの焦げた香ばしさととろけるカマンベール。これはピザ的でありながらフがあっさりしていて和食になっている。
  稚鮎の南蛮漬け。もう鮎があると言う驚き。暖冬のせい? でもなかなかしっかりした味わい。タイの子の塩辛。これも珍しい。ヌタも美味しくさすがの出来栄え。

焼き物

  今回は鮭。単なる塩焼きではない。それではこんなに照りは出ない。タレをかけて焼いてあるそうだが、そのタレは強く主張せず、鮭の味わいは損なわれてはいない。下卑た照り焼きなどとは異質のもの。

鯛の白子の味噌漬け焼き

  前回はフグの白子。そして今回は鯛の白子です。普通、鯛の白子は私の中で、フグ、鱈に次ぐ三番目の代物。フグほど旨味、清々しさがなく、鱈ほどコクがなく、独特の臭いだけはするというのが評価でした。
  それが、味舌さんで出されてみると目から鱗とはこのことかと思えるほど、この食材を見直しました。無論、臭いを取るために味噌漬けにしてあるこの一手間が大きい。味噌の旨味と香りがほのかに鯛の白子の旨味に相乗効果をもたらしている。そしてやはり素材自体がいいのだろう。味が自分が使ったことのある白子より濃密ですばらしかった。
  無論、どうがんばってもフグの白子には勝てないが、鱈の白子とは肩を並べるに値する食材だと認識を改めさせられました。
  こういう発見をさせてくれるところが味舌さんを好む最大の理由かもしれません。単に高い食材を素材そのものの味を大事にしたとか理由をつけて単に出した料理ではなく、職人の技巧と叡智で素材を昇華させる。その技巧と叡智を楽しみたいのですから。

酢の物

  酢の物は菜の花とウニ。ウニの香りが菜の花に良くあいます。

炊き合わせ

  炊き合わせは筍とエビ。風味がいいです。

ご飯

  ご飯物はもう定番のアナゴ寿司で。私はこの後、さらに三貫追加しました。

フルーツとデザート

  フルーツはなんとマンゴスチン!! 初めて食べます。なかなか面白い。デザートはこの時期の定番、桜餅の道明寺。
  今回も堪能させていただきました。4月 5月はホテルが取れそうにないので、夏まで伺えないと思え、残念ですが、次回はきっと、鮎か鱧。これにも大いに期待ができます。

07 2 3 節分に
節分にて

  前回、お彼岸に京都に行って以来の味舌さんです。 紅葉の季節にも行きたかったのですが、ホテルが取れず諦めました。 さて、今回も前回同様におまかせで。 季節柄、松葉カニ、河豚あたりは出るものと予測していきましたが、節分と言う事で、 鰯、豆なども出るかなとも思っておりました。

  食前酒は濁り酒。

先付け

  まず最初はカラスミと蕪と青菜(品種は不明)を酢の効いたつゆで味わう品。
  この構成。正月の自宅で作った中華料理のカラスミ+大根+にんにくの芽に似ているので比較してみましたが、やはりプロの仕事。雲泥の差です。

  椀物は卵で固めた椀だね。中を開くとゼラチン状の細切りに黒い皮、少し色のついた肉。 季節柄、河豚かと思いましたが、肉に個性があるので確信はもてませんでした。
  しかし、一味つけてある河豚かと思い込んで食べていくのですが出汁に生姜が利いていて、変わっているなと思っているところに板長でオーナーの味舌さんより亀(スッポンのことだと思う。)と言われ、合点がいきました。
  個性ある肉の味、ゼラチン質。そしてスッポンの出汁故に、定番の生姜風味だったのです。確かに、かつおのだしとは違うことはわかっていたのですが、脂が一滴も浮いておらずクリアーな仕上げに、純タンパク質のフグを思い浮かべたのですが、いやはや、参りました。
  卵を固める時に使用した出汁もスッポンのものとのこと。スッポン以外のものは鶏卵だけというこだわりが、見事に体現されていた名品でした。

造り

  刺身は今度こそ間違えようの無いテッサと伊勢海老のエビ味噌醤油。
  伊勢海老は正月に家で潰したものと同じくらいの立派なもの。
  テッサはまあ、上等なことはわかりますが、特筆することはありません。上品であっさりした味わい。
  しかし、伊勢海老は素晴らしい。まず、このエビ味噌醤油が極上。単に醤油で食べさせないこの一手間が、私にっては一番のもてなしなのです。
  伊勢海老の身は甘く、エビ味噌醤油のコクとエビ味噌の香りがさらに伊勢海老の味を飛躍させています。伊勢海老がなくなった後、テッサも少しこれで食べてみましたが、完璧にテッサはエビ味噌醤油を食べる土台と化し、美味しいソースを食べさせる土台として魚を使うクラッシックなフレンチを思い起こさせてくれました。
  それでも残ったエビ味噌醤油。舐めながら酒のアテにさせていただきました。

飯蒸し

  飯蒸しは大好物のアナゴ寿司を。これは最後のご飯のときにも出していただきます。今回は予約の段階からオーダーをかけておきました。もはや言う事なし。この辺まではいつもの浦霞吟醸で。

八寸

    出ました。鰯。ピカピカ。梅肉醤油と思えるもので頂きました。鰯らしい香りも失わず、それでいて臭みは無く、潔い味とでも申しましょうか。くわいと昆布巻きは暖かく、サーモンの卵黄巻きは固めにそれでいてしっとりした卵黄が、サーモンの香りを口中に長くとどめ、コクを与えてくれています。 菜の花は芥子風味。
  そしてコノワタ。やはりこれは最高です。
  八寸からは吟醸に加え、浦霞の生絞りもオーダー。吟醸よりも濃く、エディーさんなら好みでしょう。私的には味の強い料理にこちら、そうでないものは吟醸と使い分けて飲むと楽しかったです。

焼き物

  さて、焼き物はマナガツオ。味噌で味をつけてから焼いたもので、この魚はやはりこういう使い方が最高です。

フグの白子焼き

  そしてこの日一番のメインディッシュ。
  フグの白子焼き。大ぶりな白子がドーンと。上には大根おろしと柴漬け。たれにも柴漬けの風味があります。
  いつも食べるものは単に醤油で焼いただけ。あれもあれで美味しいのですが、やはりこちらは別格。
  なにより柴漬けの取り合わせが意表をつきながら、見事なマッチング。たれもまた、複雑玄妙で、白子の味わいに一味加えて格別なものにしています。
  これは日本料理的な引き算の考えというより、フレンチ的なマリアージュと足し算の考えかと私個人的には思ってしまいました。この慧眼に感服です。

酢の物

  酢の物は赤ナマコ。単に三杯酢をあわせないのがさすが。トロロに柚子のみじん切り、そして酢で締めたナマコを入れることで、単純な酢の物を一段上に昇華させています。

炊き合わせ

  炊き合わせはかぶら蒸し。風味豊か。とろける味わい。餡の絶妙さ。どれも素晴らしい出来栄えです。

ご飯

  ご飯物はアナゴ寿司第二段で。私はこの後、さらに二貫追加しました。

フルーツとデザート

  フルーツは黒砂糖のジュレで。単なるフルーツで無いところがうれしいです。
  菓子は百合根団子。前回はフォワグラが纏い前菜として出されたものが今回は餡子に纏われ菓子として出てきました。百合根という食材の幅の広さを教えられました。

  今回も至高のひとときでした。
  今、私の中で味舌さんは、この後に必ず立ち寄る K6 さんとセットで考えると、名立たるフレンチ数店を押しのけ、行きたい店の No1 になりつつあります。
  現状、ここを超える行きたい店は銀座ロオジエ、フランス、パリのランブロワジーら数店くらいでしょうか。是非、春先にまた伺いたいと思います。

06 9 23 秋のお彼岸に
秋の京都

  お彼岸の連休に再び味舌さんへ。 今回は秋ということもあり思い切って、おまかせコースでお願いしました。 いつもどおり梅酒で楽しみな食事が始まります。

まずは百合根団子とも言うべき一品

  一口食べて、中の餡が何かわからない。
  どこかで食べた風味。口に広がるのは最初にワサビ。後から来る風味がどこかで食べた味ながら思い出せない。
  で聞いてみるとフォワグラとの事。ああ、そうだ。と思い出すと共に感心。
  甘いものとあわせることの多いフォワグラがワザビとあわせてこうも美味しくなるとは。濃厚さを持ちながら爽やかさもあります。
  そして口の中に百合根団子と共に入れて楽しむと、百合根のホッコリした食感がうまみを長い時間とどめてくれる。 まず最初からノックアウトされる一品です。

松茸の椀物

  椀の中には魚を入れた茶碗蒸しの中身のようなものがあり、その上に大きな松茸が。蓋を取ると、ほのかにやさしい香りが漂います。
  この前の東京レストラン紀行のジョエルさんのトリュフのスープとは対照的。 あちらは脳天を突く衝撃的な香りで、妖艶なフランス人女性。
  こちらは奥ゆかしい(かどうか事実は知らないが。)京女的な清楚で上品な香り。

刺身の盛り合わせ

  メイタガレイとその肝、ヤリイカ、一塩酢ジメしたカマスの皮面を炙ったもの。
  メイタガレイは平目ほどの旨味の強さは無いが食感が良く潔い味。
  カマスは軽く酢ジメしてあるものの十分風味があふれていて、カレイと違い柔らかめの食感の対比が面白い。
  ヤリイカは非常に旨味が強く細かく包丁が入れられており、しっとりと旨味が口中に広がります。メイタの肝は香り高く、濃厚さもある逸品。

松茸入り飯蒸し

  松茸ご飯よりも軽やかだが風味は十分な飯蒸し。

八寸

  鯖きずし、黒大豆の枝豆、カレイの縁側・カラスミまぶし、いくら柚子風味、サツマイモの揚げ物、栗。
  鯖のきずしは脂が良く乗っているのに絶妙な塩加減と酢加減で、嫌味がまったく無い。
  野菜類はとくに特筆すべきものは無いものの十分。いくらは柚子の風味がともすれば飽きることのあるいくらを快適に食べさせてくれる。
  そして、縁側のカラスミまぶし。縁側は平目と同じくコリコリして美味しい。カラスミが旨味を足している。

鮎の焼き物

  背開きをし、骨を綺麗に取り中にいっぱいの鮎の子を詰めてある。
  今回、最初のフォワグラと並んで参ったと思わせてくれた料理。単に子持ち鮎を焼いたものとは違い、中の子を十分堪能させてくれる。 頭もバリバリ食べられるのは、頭の固い骨が抜かれているせいか。
  この小さな魚をこうも見事に背開きし、ガンバラの骨まで取り除かれている技量と、心配り、そして詰め物をしっとり食べさせる火加減に感服。
  ミョウガの油煮(コンフィー?)も良い箸休めになっている。

松茸の石焼。煮アワビ、活け天然車えび添え

  驚きの演出。見事な松茸。そして、踊りでも美味しい車えびに、完成された煮アワビも焼いて楽しみます。
  松茸は言うまでも無い味わいと香り。熱いながら手で裂いて食べます。つけダレも美味しく工夫されています。
  車えびは踊りで食べるより軽く焼くことで香ばしさと甘みが増します。煮アワビも暖めて香りを引き立てると格別です。

蟹と山芋の酢の物

  見た目良く似た蟹と山芋(長芋)の酢の物。 やさしい味わい。食感の違いが楽しい一品。

エビと蕪の炊き合わせ

  大ぶりのエビ、薄味ながらしっかりとした出汁をよく吸った蕪。美味しいのですが、滝あわせが出ると悲しくなる。それは食事の終焉を告げるから。もう一度リピートしたくなるこの瞬間。

アナゴ寿司

  今回は予約の段階でオーダーしておくのを忘れたのですが、アナゴを用意していてくださったので、梅酒を頂いた段階でお願いしました。 今回は秋仕立てというべきでしょうか。濃厚でまた酢の味が強い夏仕立てとは違った美味しさ。いくらでも入りそうです。

菊のお茶漬け

  もう一品欲しくて食べたことが無かった菊のお茶漬けを。中に魚の刺身が入っていて程よく火が入っています。 あっさりと締めくくりました。

フルーツとデザート

  ルビーグレープフルーツ、イチジク、マンゴー
  和菓子
今回のはまわりがフルフルの何かのジュレ。中が栗か百合根かのピュレ。前回の百合根の羊羹的なものより驚きはなかったですが、良く出来た和菓子です。

  さて、おまかせコースですが、さすがと思わせる内容。
  特に、最初のフォワグラ入り団子、鮎の焼き物が印象に残りました。もちろん、松茸、車えび、煮アワビの石焼もインパクトは十分でした。

  この日は、祝日と言うこともありお店は満席。女将さんが所要で居られず、若くて美しい娘さんが一生懸命サービスされていて、初々しかったですが、さすがに満席では厳しかった模様。もうひとりの仲居さんもいつもより慌てていた感がありましたが、 致し方ないでしょう。
  ともあれ、やはりここは、京都に来ると絶対に来たくなるお店です。

06 8 11 夏の京都は、やはり鱧
夏の京都は鱧

  あかあかや先生と京都に一泊旅行をしてきました。 で、京都といえば味舌さんです。

  まず梅酒でスタート。

先付け

  鮑と梅のジュレとでも言うべきもの。
  磯の香りが豊饒で鮑の食感が歯に楽しく、梅の清涼感が食欲を増進させます。

  ボタン鱧と焼きナスの椀。椀の出汁はかつおの風味がしっかりし、葛をうった鱧は味が深、滑らかな舌触り。なすは柔らかくよく出汁を吸い美味しく仕上がっています。

造り

  刺身は鯛の腹身と鱧。鯛は脂が乗っており密度も高い肉質。鱧は骨きりした後に皮を引くという技巧を凝らしてあり、山葵醤油、ポン酢ともに楽しく、落としと違った旨味があります。

飯蒸し

  ここでアナゴ寿司が一貫。いつもは冬に頂くのですが、私はこれが大好物でリクエストしておいたもの。
  で、夏と冬では感覚が違うとのことで、まずここでお味見的に出してくださいました。冬より酢が引き立たされていましたが、美味しさに変わりはありません。ですので、ご飯代わりにこれをお願いしました。

八寸

  そして八寸。味舌さんに来る最大の楽しみがこの八寸です。今回も珍味を揃えてくださいました。
  厚いくちこ。こんなに分厚いものはまず見かけません。このわたとホヤ。ホヤの風味に、このわたの旨味。これは最高でした。
  鮎の酢味噌和えも歯ざわり良く、うになども美味しかったです。
  後、忘れてならないのが鱧のつみれ。
   骨ごと団子にしたつみれは、鱧の旨味が詰まっており、これだけをハンバーグにして食べたくなるくらいの旨さ。

酢の物

   次に鱧の酢の物。箸休めです。

焼き物

  そして、今回一番の感動を与えてくれたのが、カマスの塩焼き、梅酢のソース。
  塩焼きは、塩がギリギリまで効かされており、脂の乗ったカマスの旨味を引き出しています。これだけでも素晴らしいのですが、感動したのがこのソース。梅酢とだけ聞かされていたのですが、酸味だけでなく甘み、旨味が強く、しかも適度に濃度があるのです。とは言え、粉や葛とかでつないだ感じではなく、もちろん、油を加えて乳化させている訳ではありません。
  で、聞いて見た所、梅酢に酒、みりんを加え、濃度は米(ご飯)で付けているそうです。このソースは本当に素晴らしく、板長さんは、これを今後どう使おうか考えているとおっしゃっていました。次回も是非食べてみたいソースです。

炊き合わせとご飯

  冬瓜の炊き合わせを頂き、出ましたアナゴ寿司。三貫お願いしました。

フルーツとデザート

  メロンを頂いた後のデザートで、また驚嘆すべきものが出てきました。
  見た目、真っ白なういろう。
  食べてみて一驚。しっかりとピュレの食感があるのに、舌の上で解けていきます。アイスやソルベではありません。ピュレなのです。甘みもしっかり、そしてどこかで食べた香り。
  素材は百合根だそうです。百合根の甘さが舌の上で溶けて、その香りが長く余韻を残します。次回は是非、これもリクエストしたい一品です。

今回も大満足な食事でした。やはり京都に来たら味舌さんに限ります。

06 1 2 正月に

  お正月に味舌さんへ。小さな子供連れなので、お座敷で頂きました。
  正月なので、いつものような変った素材がなく、特に楽しみにしていた八寸が前菜で代用されていたのが非常に残念でしたが、全体的な満足度は十分です。

  ただ、やはり楽しみは半減したように思えるのは、カウンターで食べていない部分も大きかったと思います。また、静かに食べられなかったことも原因でしょう。やはりいいレストランや料理屋に子供は NG ですね。

05 4 9 花見に京都へ

  あかあかや先生と京都に桜を見に行き、その後で、京都を訪れれば、必ず行きたくなる日本料理、味舌にて夕食を取りました。
  桜は全て満開で、風情豊かで楽しめました。

 さて、味舌のお料理ですが・・・

先付け

  まず、アワビをやわらかく煮たものからスタート。身を食べると磯の風味とがふんわりと口に広がり、やわらかな食感が楽しめます。そして、肝はさらに磯の香りが強く、濃厚な味わい。

椀物

  上品で、うまみがしっかりした出汁に、ハマグリのしんじょう。これがコハク酸のうまみ爆発で、それでいて、出汁のうまみと邪魔をしあわない所が秀逸でした。

造り

  作りは桜鯛とトロ。ともに満足の味わい。

箸休め?

  ついで、オクラのトロロがかかった蕎麦を頂きました。

八寸

  珍味の盛り合わせとも言うべき八寸へ。
  実はこれが最大の楽しみ。今回は、カツオのうまみの効いた梅肉を乗せたノレソレ。あまごの南蛮漬け。鯛の白子。カラスミ、生のクチコと、どれももっと食べたくなる代物ばかり。特に、味があまり無く、食感だけしか楽しめない事が多いノレソレを、こうも美味しく食べさせていただいたのは初めてですし、生のクチコはまさしく珍味中の珍味です。

焼き物

  あいなめを蒲焼のような感じで焼いた焼き物。

酢の物 炊き合わせ 酒のあて(追加分)

  酢の物、そして炊き合わせと頂きました。
  この後はご飯なのですが、少し酒が残っていたので、白魚の酢の物をあてでいただきました。

ご飯もの

  ご飯は穴子の寿司を。これが大好物で、わざわざ用意してくださってました。(御代りを2回してしました。)

フルーツ デザート

  パパイヤと苺、そして、クレープのようにした桜餅(道明寺)を頂きました。

  この日の夕食は終了。今回も大満足でした。


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